随筆「囲碁について」
富士通囲碁部顧問 小島 高穂 九段
1.囲碁について
◆神様が作ったゲーム
一手、一手変化し、何十年、何百年たっても新しい局面が出来ます。
正に、神様が作ったゲームとしか思えません。
◆格闘技
碁は盤上の格闘技です。一手一手相手の動きに呼応します。
激しい時も静かな時もあります。
全て相手の動きを見通せれば一局を制することが出来ますが、神技が必要です。
◆生涯の趣味となる
打つゲームですが、眼力が左右します。一旦得た眼力は体力の衰えに比例して衰えません。
未だ見えぬ頂上を夢見て望めば一生楽しめます。
◆青春
気持ちが若ければ年齢に係らず「青春」だと思います。
盤上は次から次へと新しい局面になり、常に「青春」です。
2.上達について
◆アマもプロも同じ道
上達の道は、アマチュアもプロも全く変わりません。
上達すると、違う景色が見えてきます。
そしてさらに進むと、また新しい景色が見えてきます。
この楽しさは、アマもプロも同じです。
◆錯覚
自分は強いという「錯覚」は大切です。そのまま、強くなってしまう可能性があります。
気後れしないで対局できるからです。
◆へこたれてはいけません
へこんだり、妥協するのはいけません。その時点で既に斬られているのです。
“石が張っている”ことが大切です。
同時に相手の手を考えて相場を見つける必要があります。
一杯にいかず「いなす」着手が適切な場合です。
3.よもやま話
◆仮分数
若い頃は、頭が大きくて「仮分数」というあだ名で呼ばれていました。今も帽子で苦労しています。
但し頭が良いということとは関係ありません。
◆本因坊リーグ入り
リーグ入りして勇躍、挑戦権を狙っていたところ、弟子たちは「残留してくれ。」の応援には参りました。
元気がありました。
◆運転免許
自動車教習所の先生は、「棋士」とはどんな人種なのか知りたかったらしいのです。
お蔭で簡単に免許を取得しました。何が得するか分かりません。
◆アマ-プロ対戦
プロでも弱ければ負けるだけのことです。アマチュアとの対戦は全く気になりません。
偶々職業としていることで、碁の勝利を目指すことにはアマもプロも有りません。
あっという間の30有余年、歳月の過ぎる早さを感じますが、まだ現役、囲碁部の皆さんと共に精進をして、棋力向上、新しい景色を見つける旅を続けたいと思います。